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「子ども1人にPC1台」の狙い 文科省が“標準スペックPC”でさせたいこと(1/2 ページ)

文部科学省が進めているGIGAスクール構想では、小中学生1人につきPC1台を用意する方針を打ち出している。文部科学省は学習用個人PCで子どもたちに何をさせたいのか、具体的な活用例を聞いた。

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 文部科学省が進めている“子ども1人にPC1台”施策「GIGAスクール構想」では、全国の小中学生にノートPCやタブレットを与えるとしている。同省はこれにより教育の個別最適化を実現したい考えだ。

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 導入するPCのスペックは、同省が提示しているPCの標準仕様案によると、Windows搭載PCの場合、CPUがIntelのCeleron以上、メモリは4GB以上、ストレージは64GB以上を標準とし、メーカー側は基本的にこの最低ラインに沿ったPCを「GIGAスクール構想準拠PC」として用意している。これに対して、Twitterでは「スペックが低すぎる」「教育目的なら十分」など、賛否の声が挙がっている。

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AcerのGIGAスクール対応PC

 スペックはPCで何をするかによっても見方が変わる。上記の性能では、動画編集や3D、音楽制作などをするには心もとないが、Webブラウザ「Edge」で調べ物をするだけなら十分だとも考えられる。

 文部科学省は学習用個人PCで子どもたちに何をさせたいのか。想定している具体的な活用方法を同省に聞いたところ、大きく分けて「調べ物と資料作成」「プログラミング教育」の2つを想定しているという。さらに、子どもたちの利用データから「教育の個別最適化」も実施したいとしている。それぞれを詳しく見ていこう。

基本は調べ物と資料作成

 文部科学省が「すぐに実践できる」としているのが調べ物と資料作成だ。Webブラウザで必要な情報を集め、レポートやプレゼン資料を作るのが基本の使い方になる。Windows搭載PCならEdgeやWord、PowerPointなどを使うことになるとみられる。

 デジタル教材の閲覧もすぐに実践できることの一つだ。デジタル教科書や英語の学習用動画、NHKが提供する学習コンテンツ「NHK for School」などの教材を個人PCで閲覧することを想定している。これまでは、教室に設置されたモニターで全員が一度に動画を見るようになっていたが、個人PCを持てば児童生徒がそれぞれ好きに映像資料を見られる。

 紙の教科書にも変化が訪れている。近年では、資料動画へのリンクがQRコードとして印刷されている教科書も登場している。例えば、音楽の教科書ではQRコードから楽器の演奏方法や和音の仕組みなどを説明した動画を見られるようになっているものもある。これに対応するため、GIGAスクール構想対応PCの標準仕様ではWebカメラが必要としている。

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教育芸術社の音楽の教科書

 少し発展的な内容として表計算ソフトや動画撮影・編集ソフトの活用も挙げている。資料作成自体は文章と画像があれば最低限できるが、調べ物で集めたデータをExcelなどでグラフ化して貼り付けたり、理科の実験を動画で撮影して発表したりするなどの活用を想定している。

 動画編集は動画前後の不要な部分を切り落とす程度のものだという。標準仕様の中にはアニメーション作品を作ることも活用例として挙げられている。

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